Wow & Flutter / Better Today Then - 1300yen
(Jealous Butcher Records)
(2006 grok plastique grok-san)
東京で活動していたThere Is A Light That Never Goes Outと愛知の岡崎で活動していたTout Ensembleのメンバーによって結成されたZ(ゼット)の1stアルバムがついに発売!
ギター、ベース、ドラムにテナー&アルトサックス、フルート、コントラバスという編成や、すべて長尺の曲ということで静謐なジャズ寄りのインストサウンドかと思われるかもしれないが、しかし実際は鋭利で強烈なバンドサウンドにフリーキーなサックスとエナジー全開のヴォーカルが衝突し合い、生々しい臨場感と熱量のある凄まじいサウンドになっている。
先鋭的でセンス溢れる曲の構成力はもちろん素晴らしい。だけどそれ以上に感じられるのは剥き出しで放出される生身の表現。聴いているだけでじっとりと汗をかいてしまう程の熱を帯びたエモーション。
確信を持って鳴らされるスネアの音、印象的なフレーズが耳に残るベース、硬質なディストーションギターのその一音々々に痺れる。そして艶やかで極めて人間的なサックスの音色が自由自在に動き回る。
歌詞は韻を踏んだ言葉が多く使われ、抽象的な散文詩のようで独自の世界を創り出している。直接的な意味を敢えてぼかすことでメッセージ性よりも音の響きや感性、表現するエモーションをより大事にしているのだろう。
そんな言葉達を存在感のある甲高い声とともに吐き出し、体全体で歌い叫んでいるかのようなステージングを見ると思うのは、より純粋に表現することに向かっていっているのだろうということ。
余談だが、このアルバムの曲の中にThere Isの後期の曲のフレーズが少しだけ使われていたのが印象的だった。僕は後期の曲(音源になっていない)がとても好きだったので、そんなところも嬉しかった。
このアルバムはgaji、thermoの君島氏との共同プロデュース。ジャケットもハイセンスで紙質までこだわった作り。
彼等のやっていたバンドが好きな人はもちろん、パンク・ハードコア全般、James Chance & The Contortions、CAN、
大友良英、Improvised Music from Japan関連にも興味のある方は是非。ステッカー付きます。
※catuneのサイトで「図式マン」の試聴と、「500万円」の PVを観ることができます。
http://www.unproducts.com/grokplastique
(2011 Thing! Thing! Thing!)
東京で活動する5人組の初正式音源。
ニュースクール/激情ハードコアの要素を独自に昇華したサウンド面も興味深いけれど、緊張感のある佇まい、危険な感じ、強い意思を感じさせる音と声、これはまぎれもなく「ハードコア」だと思う。
ちなみにドラムの方は元gauge means nothingで、現在はCOHOLでも活動しています。
(残念なことに2011年2月のライブを最後にisolateを脱退されるようです)
(2010 / self)
京都で活動する流動的ユニットsewiの3曲りCD。自身のレーベル/ショップの3rd RECORDSからのリリース。
初期のバンド編成から、トラックを流して1人でサックスを吹きながら歌うスタイルなど様々なサウンドの変遷を経て、sewiの今を提示している。
バンド演奏も取り入れつつも陰鬱かつ幽玄なサウンドに、独白、語りのような歌。時には嘆きや囁きのような、時には強く投げかけるような言葉を次々と発していく。
ヒップホップ的な手法を取っているものの、あまりそういう枠には囚われないで聴ける。
おそらくカテゴライズするのは難しい音楽だし、作り手もそれを意図的に拒否し、「異物」であることを敢えて望む姿勢は支持したい。
それはジャンルとしてではなく、表現としてのハードコアの在り方だと思う。
どんな服を身にまとっても、「頭の中がハードコア」であれば良いのである。
日本の70-80年代のアンダーグラウンドシーンのバンドを思わせるジャケットデザインも良いです。
1. 最期の晩餐
2. 葬式
3. Pianoが鳴る代わりに
※歌詞、対談を収録した特製ブックレット付
(2010 3rd RECORDS / 3RDR-002)
京都で活動する4人組、theorem(セオレム)の初CD音源は京都で精力的に活動する3rd RECORDSからのリリース。特典としてライブ映像3曲入りDVD-R付きです。
唸りをあげるツインギター、動きのあるリズム。そして叫ぶヴォーカル。
聴いたことのないような新しい音を出しているか?と言われればそうではないのかもしれない。
でも、新しいことをすれば何でもOKというわけでもないのが音楽の難しいところであり、奥深いところであり、面白い部分でもある。
衝動的に激しい曲を演奏するバンドは数多くいるし、彼らもそういうバンドの影響も当然受けているのだろう。
でも、表現は人の数だけあって、それはどれもオリジナルだ。
全力で表現すれば、それはオリジナルだと思うし、僕は表現する人のそれを感じたいと常に思っている。
この音源からもそれは感じられた。
最近のライブを観たけれど、勢いと気迫と自信がみなぎったステージでこれは若手だとか若干~歳だなんて言う必要ないなと思った。
個人的には、爆音で歪みまくったギターとロールを多用するドラムが良かった。
there is a light that never goes out、(仙台の)The End、nitro mega prayer、400years、Funeral Dinerなどが好きな方は聴いてみて欲しい。
1. wardance
2. messed
3. pessimistic
4. unworthy
5. in silence
(2009 3rd RECORDS 3RDR-001 / web)
大阪のハイテンションセックスガールと東京のHEMP COACHING JUICERのスプリットCDが愛媛のimpulse recordsからリリース。
両バンドとも爆発するテンションと飄々とした佇まい、だけどポップさも感じさせる。
パンクでもハードコアでも激情でもマスロックでもあり、そのどれでもない彼等の新しい感覚のサウンドを是非とも聴いてみて欲しい。
収録曲:
ハイテンションセックスガール
1.今、襲い掛かれ!
2.0.9%
3.共生虫
4.FUSHIGI
HEMP COACHING JUICER
5.違う!
6.悔しさエネルギー
7.4年
8.代わりはいない
ハイテンションセックスガール myspace
HEMP COACHING JUICER myspace
(2010 impulse records imps-28)